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葵紋:アオイ

アオイ
葵紋:徳川家の紋として知られるが、もともとは京都の「賀茂神社」の神紋。徳川家が葵紋(三葉葵紋)を家紋としているのは、その祖先が三河の加茂郡松平の地にあって、賀茂朝臣松平太郎左衛門と号した事による。
麻紋:アサ

アサ
麻紋:クワ科の一年生草本で1〜3メートルに成長する。夏から秋に茎を刈り、皮から繊維を採って麻布を織る。実は鳥の飼料にした。長い柄につく葉は、手を開いた様に先端が6〜7枚に分かれている。この葉の模様は、女性の長襦袢や子供の産着でおなじみだが、鎌倉時代既に建築物の装飾や漆工芸品などに用いられていた。
芦紋:アシ

アシ
芦紋:イネ科の多年生草本で、水辺に自生する。高さ2メートル、葉は笹に似て、秋、紫色の小花をつけた花穂を出す。節のある茎は簾に編む。模様としては戦国時代の鞍等に見られる。楚々たる風情が古くから文人に好まれ、そこから紋章化したと思われる。
粟紋:アワ

アワ
粟紋:イネ科の一年生草本で、東南アジアが原産。高さ1〜2メートルに成長し、夏から秋にかけて黄色い穂が垂れ下がる。日本では太古から重要な植物となっていたらしく、万葉集にも登場する。粟紋は稲紋に比べて種類が少なく、古い紋帳には載っていない。
虎杖紋:イタドリ
虎杖
イタドリ
虎杖紋:タデ科の多年草で、春、赤い斑点のある芽を吹く。一見ウドに似て、高さは2メートルに達する。酸味ある茎は食用とし、根は利尿剤や健胃剤に用いる。夏、白い小花をつけた花穂を出す。
銀杏紋:イチョウ
銀杏
イチョウ
銀杏紋:イチョウは中国原産の落葉高木。葉は扇形で、秋、黄変して美しい。雌雄異株、黄色の種子を結び、中に白い硬質の核果があり、これを銀杏といい食用にする。銀杏紋は、この葉を写実的に形象化したものだが、その長寿と悠然たる構えから、徳川家の替紋とされるなど、多くの諸氏が用いている。
稲紋:イネ

イネ
稲紋:日本第二の大姓「鈴木」一族の代表家紋。熊野神社に奉仕する神官、氏子等に用いられ、「熊野権現縁起」に「祖神を勧請したとき、稲穂を奉って穂積の姓を賜った。この穂積は鈴木ともいう」とある。「鈴木」はススキの当て字で、ホズミと同義の積んだ稲穂をいう。
車前草紋:オオバコ
車前草
オオバコ
車前草紋:野原や田舎道で見かける雑草で、葉が15センチにもなるため大葉草の名がついた。夏、白い小花を穂状につける。俗にオンバコ、カエルバともいい、葉や種子は利尿剤やセキ止めとなる。家紋は、葉と花の図案化で、医家で使用された。
楓紋:カエデ

カエデ
楓紋:カエデ科の落葉高木の総称。普通「もみじ」という。葉は手のひら状で、カエル手(蛙手)を略してカエデと呼ぶ。初めはグリーン、霜にあうと美しく紅葉する。4、5月頃、暗紅色の多数の小花をつけ、後ろに翼を持った果実を二つずつ付着してつける。
柏紋:カシワ

カシワ
柏紋:ブナ科の落葉高木で、高さは8メートルに達する。葉は大きく、周辺に深い波状の切れ込みがある。枝葉共に細毛が密生、雌雄同株。その若葉で端午の節句の柏餅を包む等、昔から食器専用の葉として使われてきた。形も大きさも手頃で、葉も厚くしなやかだからである。
梶紋:カジ

カジ
梶紋:カジの木は、暖地の山野に自生するクワ科の落葉高木。高さは約10メートル、葉は卵形で、3〜5裂する。根付き三本の梶紋は、諏訪神社の神紋として知られる。神官の出である梶、神、茅野、千野、矢守の諸家や、信濃、甲斐、越後の豪族で、特に諏訪神社を信仰する諸氏が用いた。
片喰紋:カタバミ
片喰
カタバミ
片喰紋:ハート形のクローバーに似ている雑草で、庭や道端でよく見かける。三小葉からなり、夜は閉じる。方葉が三つあるのでカタバミ(片喰)という。シュウ酸を含むため全体に酸味があり、一名スイモノグサといい酢漿草の字を当てる。室町期から武家紋として登場、新田、長曽我部、宇喜田、肥田、平尾の諸氏、江戸時代には酒井、森川の大名、旗本百六十余家に及び、桐紋についで多用された。
蕪紋:カブラ

カブラ
蕪紋:アブラナ科の一年草で、別名カブ、カブラナ、スズナ。根と葉を食用とする。春の七草のひとつであることから、厄よけの願いを込めて紋章化されたと思われる。全形をリアルに描いた家紋には「一つ蕪」や二つが相対したものなどがある。
河骨紋:コウホネ
河骨
コウホネ
河骨紋:沼や池の浅瀬に自生するスイレン科の多年生草本。根茎は太く長く、節が多くて骨に似ているのでこの名がついた。花や葉を図案化した家紋は葵紋と酷似するが、河骨の葉の支脈が主脈から平行に出ているのに対し、葵の支脈は主脈の元から放射状に出ている。
榊紋:サカキ

サカキ
榊紋:ツバキ科の常緑亜高木。「榊」の字は、古来神木として枝葉を神に供えた事から日本で作られたもの。現代でも、神事にはサカキの枝に木綿または紙をつけた玉串を捧げる。葉や花を図案化した榊紋は、熊野神社の神官、鈴木氏の代表紋。
歯朶紋:シダ
歯朶
シダ
歯朶紋:普通は羊歯と書く。ワラビ、ゼンマイ、ウラジロ等の総称で、これらはシダ類植物といい、地下茎から葉が伸びて葉裏に胞子をつけるのが特徴。ただし家紋は、長寿のシンボルで正月のしめ飾りに用いるウラジロの図案化。模様としては、平安時代の甲冑などに見られる。
棕櫚紋:シュロ
棕櫚
シュロ
棕櫚紋:ヤシ科の常緑高木で、高さ6メートルにも達する。枝がなく、まっすぐに伸びた幹は俗に「シュロの毛」と呼ばれる古い皮で覆われている。幹の頂上に、長い柄を持つ固い葉が数本つく。この葉が一見クマデのようで形が面白く、紋章化されたと思われる。
杉紋:スギ

スギ
杉紋:日本特産の針葉樹。幹が高く天を突くところから「神の宿る木」とあがめられ、大和(奈良県)三輪神社で神木として祀った。家紋は、杉の霊力信仰から生まれたらしく、三輪神社ゆかりの一族と杉の突く苗字の家が使用している。
薄紋:ススキ

ススキ
薄紋:イネ科の多年生草本で、高さ2メ−トルに達する。秋、細長く淵の鋭い葉が枯れかける頃、花穂が黄褐色から灰色がかった白に変わる。秋の七草の一つで別名「尾花」。茎は屋根を叩くのに用いられる。薄紋は、全形のほかに雪や霜をあしらったものがある。
大根紋:ダイコン
大根
ダイコン
大根紋:別名スズシロといい、春の七草の一つに数えられる。大聖歓喜天(象頭人身をもつ仏教の守護神。聖天ともいう)の供物で、聖天信仰から大根紋が使われた。将軍綱吉の母桂昌院を輩出した本庄氏の使用紋として知られる。
竹・笹紋:タケ・ササ
竹・笹
タケ
竹・笹紋:四季、色を変えず、真っすぐ伸び、節の固いところから、中国では節の正しい君子に例え、我が国でも松竹梅として縁起の良い植物とされる。丈と笹は勿論同類で、家紋の方でも特に区別しない。が、幹が中心になっているのは丈(直立系)または竹丸(丸形)と呼ぶ。
茶の実紋:チャノミ
茶の実
チャノミ
茶の実紋:お茶と日本人の付き合いは長く、茶道としても発展した。しかし、家紋としての茶の実紋は、橘紋の転化とされている。それほど両者はよく似ているからだ。僅かな相違点は、橘は果実の両側と後方に必ず葉を持っていて、果実の頂点に小さな縁(点に近い)を描いているが、茶の実紋の方は、葉が二枚であり、小さな円もついていない。
丁字紋:チョウジ
丁字
チョウジ
丁字紋:チョウジはモルッカ諸島原産の香料をとるフトモモ科の常緑高木。高さ10メートル余り、熱帯地方に広く栽植される。花対生し、革質で固く光沢があり、長楕円形で先がとがっている。花は淡紅色で、枝先に集まって咲き、香りが高い。唐辛子に似た2センチ余りの核果を結び、普通一個の種子を入れている。
蔦紋:ツタ

ツタ
蔦紋:八代将軍吉宗が好んだ事で有名。将軍様にあやかって、大名から町人まで、徳川時代に大流行した家紋。中でも松平の諸家が主家紋の葵から蔦に変える例が多く、また幕臣も百六十余家が用いた。その上、苗字を持てなかった花柳界の芸妓、遊女にまで広まった。
唐辛子紋:トウガラシ
唐辛子
トウガラシ
唐辛子紋:ナス科の一年生草本で、熱帯の原産。桃山時代に朝鮮からもたらされ、栽培が始まったと伝えられる。実を図案化した家紋は近代的な感じがする。
梛紋:ナギ

ナギ
梛紋:竹柏とも書く。別名なぎのき、ちからしば。マキ科の常緑高木で、高さは15メートルにもなる。緻密な材質が床柱や家具に向く。大和の春日神社、紀伊の熊野神社の神木でもある。家紋は、葉や枝を図案化した物で、熊野神社の神紋。
茄子紋:ナス
茄子
ナス
茄子紋:インド原産で、中国を経て渡来した。当初は解毒剤として用いられたようだが、改良されて食用となった。実の形のおもしろさから紋章化されたと思われ、枝葉付きのものや桐を模した茄子桐などバリエーションに富んでいる。
南天紋:ナンテン
南天
ナンテン
南天紋:中国原産の常緑灌木で、初夏、白い小花を枝先いっぱいにつける。赤く熟する果物は咳止めの薬。いつまでも落果しないのがめでたい印とされ、祝事や厄よけに用いられた。家紋は、実と枝葉を組み合わせたもの。
萩紋:ハギ

ハギ
萩紋:マメ科の亜低木で、秋に紅紫色または白色の小花を房状につける。秋の七草の一つに数えられ、風流人に愛される一方、家畜の飼料にも用いられた。出雲大社蔵の蒔絵手箱はハギ模様の傑作。家紋は萩の丸、抱き萩など。
芭蕉紋:バショウ
芭蕉
バショウ
芭蕉紋:中国原産で高さが5メートル、長い柄を持つ葉は1〜2メートルの長楕円形。俳人芭蕉は、葉が支脈に沿って破れ易いのを世のはかなさになぞらえて自らの号にしたという。寝、茎、葉は脚気や風邪の薬。葉を図案化した家紋は、明治以降の新紋と思われる。
柊紋:ヒイラギ

ヒイラギ
柊紋:ヒイラギは、モクセイ科の常緑低木で、高さは約3メートル。葉は革質で固く光沢があり、淵には先が鋭いトゲとなった切れ込みがある。触ると痛いので疼木(ヒイラギ)の字も当てる。柊が家紋とされたのは昔これを用いて矛を作ったと伝え、また延喜式によると、節分の日の鬼払いにこの葉をさして悪魔を退散させ、幸福の将来を願ったという故事による。
瓢紋:ヒサゴ

ヒサゴ
瓢紋:ヒョウタン、フクベともいう。ウリ科の蔓性植物の果実で、内部をくり抜き乾燥させて酒の容器やひしゃくに使った。中央がくびれたユニークな形が風流人に愛されたが、古くは神霊が宿るとされて祭具に用いられた。豊臣秀吉は馬印に「千成瓢箪」を用い、戦に勝つごとに数を増やしていったという。
葡萄紋:ブドウ
葡萄
ブドウ
葡萄紋:ペルシャ原産の蔓性落葉樹。日本にも野生種が存在したが、食用としての栽培は鎌倉時代から。しかし、模様としては古く、正倉院宝物物の中にも葡萄をあしらった鏡や箱が見られる。家紋は、葉と実と蔓を図案化したもの。松平家が葵紋を避けるため、葉の形が似た葡萄紋を用いた、との節がある。
松紋:マツ

マツ
松紋:マツ科の常緑高木。葉は針状、2、3または5枚。雌雄同株で、雌花は多数の鱗片からなる毬状。雄花は新芽の下部に密生する。球果はいわゆる「まつかさ」となる。日本にはクロマツ、アカマツ、ゴヨウマツなどがあり、長寿や節操の象徴するものとして、古来尊ばれてきた。神がこの木に天降る事を「待つ」意とされ、門松を立てて正月を迎える。
茗荷紋:ミョウガ
茗荷
ミョウガ
茗荷紋:茗荷紋は「冥加」、つまり目に見えぬ神仏の助力、加護に通じるところから、縁起の良さを祝って生まれた紋で、摩蛇羅神の神紋ともされ、その信仰的な意味も加わっている。タケノコ状の包片を力強く丸形にまとめたものが基本形で、その先に花穂をあしらったものが多い。
桃紋:モモ

モモ
桃紋:中国原産のバラ科の落葉高木。果実は古くから魔除けのシンボルだったらしく、古事記にはイザナギノミコトが桃の実を投げて悪魔を祓った、と記されている。また、三月三日の桃の節句も、邪気祓いの行事として始まったものである。実の形の美しさと魔除け信仰から家紋に選ばれたらしく、神紋に多く使われている。
蕨紋:ワラビ

ワラビ
蕨紋:ゼンマイと並ぶ早春の風物詩で、万葉集にも登場する。新芽の上端がこぶしを握った様に巻くのが面白く、古くから衣服や器具の模様に使われた。蕨紋は、写実的なものと簡略化されたものに分かれるが、成立は遅かったと思われる。